【活動進化プログラム】公開講座レポート #02
イベント2016年12月15日
#02 Event Planning つながりをつくり出す、イベントのつくりかた
活動を応援してくれる方や共に活動してくれる方を見つけるためのイベント企画。
しかし、多くのイベントがSNS等で繋がるだけになっていることが多いことに対して
出会いをきっかけに共に行動をしてくれる「コミュニティ」を生むためのポイントを
イベント企画をサポートする企業「Orinoco Peatix」の白勢竜彦さんと
地域活動を続ける団体「葉山芸術祭」の松澤利親さんを
ゲスト講師に迎え、一緒に考えていきました。
最初に、「“みんなごと”ってあるけど、“みんなでやる”ってどうするの?」と
本日の内容を共有しました。
□白勢竜彦さんのEvent Planning(Orinoco Peatix K.K)
「人と話をするのが好き。人の集まるところが好き」と
1万人規模から数人までの様々なイベントを見続けている白勢さん。
Peatixを知ったきっかけは
「演奏はできるが、コンサートのチケットの販売や集客の方法がわからない」という
音楽家の悩みを抱えていることからだったと思い出します。
イベントやコミュニティを通じて、人と人とがつながり
世の中が良くなっていってほしいと実践されていることをシェアしていただきました。
「人生を変えるほどの熱量〜仲間を見つけて、忘れられないイベントをつくろう〜」という
コンセプトをもとに、誰でも簡単にイベント主催、チケット販売・集客
コミュニティ運営が行える日本最大級のコミュニティプラットフォームであるPeatix。
特徴である「簡単チケット販売」、「イベント集客力」や「グループ機能」についてや
Peatixを利用される企画に対して、外からの視点を持ってのアドバイスをいただきました。
また、個人的な活動として
山梨県白州・尾白の森名水公園「べるが」での
オールナイトで映画を上映する「夜空と交差する森の映画祭」http://forest-movie-festival.jp WEB DAISUKIKKO MEETUP「#WDM-12」 http://directormeetup.orgテーマに沿ったベスト3をシェアして、みんなでワイワイトーク&パーティーをする
「べっさんナイト〜第一回 泣けるゲーム音楽〜」 http://bessan0427.peatix.com
といった企画も行っているとご紹介くださいました。
□松澤利親さんのEvent Planning(葉山芸術祭)
来年で四半世紀25回目を迎えるという葉山芸術祭は
「地域発住民主体のアートプロジェクト」。
4回目から参画した松澤さんは、以前、証券会社の国内外法人畑の営業職で
企画や調整をする仕事が多かったことと、現代アートが趣味であることがきっかけで
会計や企画参加の調整役としての関わりが始まったと20年前を振り返ります。
「葉山芸術祭(HAF)を知ろう!そのはじまりから現在まで」というテーマをもとに
有志ボランティア8名の実行委員会で運営し、「ユル~い」HAFの趣旨に沿った
130もの参加企画の集合体における成り立ちから
現在、そして、地域との関係について、草創期、転換期、成長期、成熟期に分けて
お話をしていただきました。
草創期(第1〜3回)は、建築家が中心となりアカデミックで鑑賞するもの。
転換期(第4〜10回)は、森山神社での「青空アート市」や
自分のスペースで作品展や演奏、アートのワークショップなどを開催する
「オープンハウス」の出現により、一般参加の人が増え、生活芸術中心の参加型芸術祭へ。
成長期(第10〜15回)は、ヨガや瞑想といった「ヒーリング」の出現といった
地域特性と時代を感じさせるワークショップや食の企画の増加が見られました。
成熟期(第16回〜現在)は、周囲のお店が「サポートショップ」として
自分たちも関わりたいと波及していき、そして、葉山だけではなく
金沢文庫芸術祭(1998年)や逗子アートフェスティバル(2013年)と
他の地域にも広がっていきました。
葉山は、山や海で他と隔てられているのでその範囲が目で分かる地形です。
鉄道の駅が無く、そのためか自然環境豊かです。
葉山芸術祭はそうした恵まれた条件の下に、表現者、鑑賞者
そしてつなぎ役であるプロデューサーの三位一体
人的資源の程よい融合によって成り立っています。
そして、人々の交流とそのコミュニティは、葉山の伝統的地域社会と
同時に各時代時代で外部からの人、物、価値観を受入れて来た寛容で
多様性を受け入れる葉山の特殊性を背景としています。
また、新旧の有名な建築家(遠藤新、吉阪正隆、妹島和代、隈研吾他)の
建築物が多くあるのも特徴の1つだと言えます。
□クロストークセッション
Q:一緒にイベントを作っていくにあたり、いいなと思うチームはどんなことをやってますか?
白勢さん:理想のチームは、主催者が任せられないなという人。
でも、想いはきちんとあって、最後の意思決定は
きちんと行い、ビジョンを言葉にできる人。
大変そうだと思うチームは、主催者が全部一人で見て、実行しようとする人。
ちゃんと見える形で他の人に任せるようにすることがチームを作る上で大切。
松澤さん:全く同感。すべての企業や組織においても同じことが言える。
一人じゃ何にも出来ないと思う。どういう風に仲間を作って協力し合うか
分担し合うかというだけではなく、お互いに自分事としてやらなきゃいけない
他人事にならないようにするという両方のバランスが大切。
一人では何もできないが、一人でやらなければならないということだと思う。
Q:こんなことをいいチームは、やっていると思うことは何かありますか?
松澤さん:コミュニケーションの基本は「FACE TO FACE」。
メールで全てを済まそうと思うのは、やめたほうがいい。
必要な時にはできるだけ顔を合わせて、話し合うこと。多数決もしない。
出来る限りみんなが納得するまで話し合う。
メンバーの誰かが根負けするまで話し合うともいえるが。
白勢さん:僕は、主催者から頼られる側。プライベートな話をして仲良くなる。
Q:アプローチはどうしたらいいのか?響かせるためには?
白勢さん:FACE TO FACEで誘うのが一番。
ハードルを一緒に飛び越えていく人をつくるかが大事。
松澤さん:葉山芸術祭のアンケート調査(葉山芸術祭調査研究グループ担当)で
なぜ、あなたは葉山芸術祭に参加しているのですか?との問いに対しての答えは
葉山町やその隣の自治体以外からの参加者の場合
何かしらの人のつながりがあることが理由にあがる。
例えば、葉山に知人、友人、親が住んでいるなどだ。
チラシを見ただけやホームページを見ただけでの参加者はほとんどいない。
地域や企画の魅力を背景にしながらも人のつながりは重要だ。
我々のようなプロジェクトやイベントには、主催者側も参加者も
人のつながりを作って行くことは重要だと思う。価値観を共有する仲間作りと思う。
Q:運営について、人数や協賛は十分なのか?
松澤さん:運営人数について、葉山芸術祭の場合、実行委員会は
方向性やお金の使い方を決める組織で具体的な作業を行うチームは別にいる。
協賛については、それがお金集めなら先ずその活動目的に沿って
何が必要なのかを明確にすること。お金だけが必要なわけではない。
実行委員同士やスタッフチームメンバー、お手伝いの人達
葉山芸術祭を一緒に作り上げる者同士その運営に何が本当にどんな協賛が必要か考えている。
資金集めは確かに重要でそうした意味での協賛は避けて通れない。
しかし、人が動くやりがいは「価値」をつくっていくこと。
その活動ブランド力が上がることや、そこに関わる事でいろんな人と知り合えるといった
価値の提供もマネジメントとして考えなければならない。
葉山芸術祭は四半世紀を経て、ここ数年新しい人が入ってきているので
これまでの方法ではその価値を共有することがだんだん難しくなってきている。
そのためにテキスト化といった見える化が必要かなと感じている。
白勢さん:映画祭は、同じような映画好きの友だちができる横のつながり。
18時から5時までオールナイトで運営する特別な舞台。
代表が前に出て、想いを伝えていき、”新しい価値をいっしょにつくっている”と感じてもらう。
Q:イベント情報を掲載する上で気をつけていることは?
白勢さん:紙のチラシとWEBの違いで、見る方を意識した作り方を考えた方がいい。
副題的なタイトルやビジュアルをわかりやすくしたり、どういう人がやっているのか
といった具体的なことを明示する。
Q:25回目と続く一番のポイントは?
松澤さん:主催者自身、自分たちが楽しむこと。楽しいことでも辛い時はある。
それを乗り越えて、自ら意義を感じられるかがポイントだと思う。
逆説的に言うと、自分たちが楽しいと思う範囲に留めておくことも大事。
無理をし過ぎない。無理は続かない。活動目的によって、それに合った
継続のための考え方や仕組みを持たなければならない。
仲間を増やすこと、多面的な協力を得る事を少しずつ行っていくのも方法の一つ。
葉山芸術祭も最初から今の規模ではない。長く続いていることは目的ではなく結果だ。
□グループワーク
参加者の方からは「イベントを作るにあたり、大事にしたいこと」について
どんなポイントがあったかを振返って頂きました。
・人と人とのつながり
・FACE TO FACEで話すこと
・「ユルさ」によって、締めるところが見えてくる
・「継続性」:集客において、単発なのか継続的なイベントなのか
・自分が楽しめる範囲で楽しむこと
・目的を明確にする
□最後にゲストからのメッセージ
白勢さん:楽しむこと。やりたいことは何なのか?
イベントでなくてもいいのでは?と、イベントをどうしてするのかという目的が大事。
松澤さん:何かやるからには大きな成果を早く出したいと思うのが普通だが
100点満点主義にならないこと。急ぎ過ぎず、時間をかけて、仲間と話し合うことが大切。
*
本日は全四回の連続講座の第2回「Event Planning」編でした。
次回12月16日は「PR/Marketing -メディアを使ったマーケティング戦略のつくりかた-」編とし
SVP東京の加藤たけしさん、SILKの前田展広さんをお招きする予定です。
広い視点でのまちづくりを考えながら、京都や他地域での活動をリアルに学び
市民の共感や行動を呼び起こす力を身につける公開講座プログラム。
ぜひ次回はあなたもご一緒に!
▶︎活動進化プログラム:公開講座情報はこちら
http://machigoto.org/minnagoto/
グラフィック・レコーディング/タオルマン
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