【活動進化プログラム】報告会レポート

イベント2017年04月25日

活動進化プログラム報告会 -アクションプランから新たな繋がりを探る-

“みんなごと”のまちづくり推進事業「まちづくり・お宝バンク」に登録された提案の
実現に向けた支援策の一つとして実施してきた“活動進化プログラム”。
2016年11月よりスタートした同プログラムのなかでも、「伴走型プログラム」に
参加した4団体の活動に関する報告会を、2017年3月29日に開催しました。

ゲストには、嘉村 賢州さん(NPO法人場とつながりラボhome’s vi)と
谷 亮治さん(京都市まちづくりアドバイザー)を迎え、報告後には
来場者の方々を交えたグループセッションを行い、新たな繋がり、連携の可能性を
探っていきました。

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□NPO法人 京都自死・自殺相談センターSotto 長嶋蓮慧さん

【活動進化プログラムでの取組内容】
『<ひとりぼっちにならない社会>の実現』から考えた、より良い社会のビジョンと
多様な団体との関わりを広げていくための事業構想づくり

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▶︎伴走を受けて見えてきた課題
どことどのように何を目的に連携して、いつまでに実現するかが進まなかった。
そもそもSottoとして今何が必要かを考える必要があることが見えてきた。

▶︎見えてきた課題への対策と気づき
京都市ソーシャルイノベーション研究所と連携して、これまで活動をしてきた
仲間の想いを聞く場「第1回Sottoの日」を開催。

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同じ理念を目指しているが、あらためて多様な背景をもった人が集まっていることを実感。
違いを認識したうえで、違いを前提としながら、新たに共有できる価値観を共に築いていく
仲間、そうしたチームとなっていく、基盤づくりにつながった。

これまで運営メンバーが決めたことをボランティアメンバーへお願いするというトップダウン
式の組織体制になっていた。
メンバーの声を聞いて、よりSottoがどうなっていきたいか考える場、ボランティア同士の
交流が少ないため思いをもっと聞く場が必要だと気づくことができた。

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▶︎今後の構想
第2回Sottoの日を企画中。

 

【ゲストコメント】
・嘉村
あらゆる団体が、外から見ると何をしているのか、何をまかせられるのか等がわからない。
それをわからずに関係性は生まれない。
過去の連携事例を一覧にしたり、こんな連携がしたいなど見える化が重要。
そのために例えば合宿をするなどして発信することが大事。

・谷
孤独感を和らげる活動をしている団体自身が、実は自分たちの話を聞けていなかった。
まさに悩みを抱えている人の状況が、自分たちに起こっているという気づきを得られた
というところがとても大事。
自殺相談受け付けますといって受け付けられるのだろうか。
もちつき大会をして、いつの間にか防災訓練ができていたというような、
自殺相談と言わない自殺相談がデザインできないか一緒に考えられたら。

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□NPO法人 らくさいライフスタイル 深川 光耀さん

【活動進化プログラムでの取組内容】
『地域ボランティアによる商業施設内での託児サービスの実施』から考える
地域に暮らす女性のニーズ発掘と、多様な団体との連携による新たなサービスの実現計画

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▶︎伴走を受けて見えてきた課題
洛西ニュータウンの商業施設で地域住民からなる託児サービスを提供しているが、
『本当に一時預かりがらくさいのママたちが求めていることか』という伴走者の問いに
より、ヒアリング等でもわかっていたが、12月のワークショップで再度確認をしてみた。
たくさん意見・要望が出たが、これまであまり思っていなかったニーズもあった。

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▶︎見えてきた課題への対策と気づき
「長時間の一時預かり」のほか、これまであまり見えていなかった
「子育て世代のニーズ・要望を伝える場」、「スキルをいかした親子向けのプログラム」
にも力を入れて、『ラクセーヌ育児フェスタ』を試行開催、毎月開催するようになった。

3年間地域住民や商店街、公社などと話しているが、伴走者がいることで話しやすい場に
なり、意味付けを整理してくれた。
会って話すことの大切さを改めて気づかされた。

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▶︎今後の構想
継続的なサービスの提供。
商業施設において、人出も売り上げも下がっているが、託児サービスやお母さん向けの
サービス自体が大切だと思って住民の方もスタッフをされている。
自立できるサービスを提供できる仕組みを考えていく必要がある。

 

【ゲストコメント】
・谷
定量的なデータを取っていること、試行実験をされていることが大事だと思った。
託児が助かるというアンケート結果を疑ってワークショップをされた結果、
お母さん同士が話せる場や子どもと参加できる場が欲しいという真のニーズが後で
出てきたことがこの活動のすごいところ。

・嘉村
多角的にニーズを考えたり、検証できるワークショップをしていることがすごいと思った。
以前、病児保育をしている団体に呼ばれて、お母さん同士で普段抱えている悩みなどを
話せるワークショップをした際に、涙を流される方が多く象徴的だった。
相談先がわからず、初めて話せて良かったとなる。商店街は、あらゆる女性が来るので
本当はストレスを抱えている人が吐き出せる場所があると知ってもらう機会にもなる。
そこからお母さん同士のコミュニティーができると、もっといろんな展開ができるのかな
と思う。

 

□NPO法人 放課後NPOアフタースクール 後藤 愛さん

【活動進化プログラムでの取組内容】
『子どもたちの放課後を“テレビゲームより楽しく、塾より学べる”放課後に!』から
探ったこれから求められる、子ども向けプログラムの可視化とプランづくり

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▶︎伴走を受けて見えてきた課題
開講したい、プログラムを提供したいということを単独で考えていたが地域の方々と
一緒にやっていくこと、どういう方と協働するかが肝になる。

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▶︎見えてきた課題への対策と気づき
まずは小さくても京都市内で実績を作ろうと、協働できる方を探す目的で放課後NPOの
取り組みをお話しし、意見をいただく場を持った。
意識の高い地域の人とつながる方が良いということや、顔が見える人脈作りが大事と
いうことをいただいた中で、たくさん実績を作っていくのではなく、
数を絞って団体とつながってやっていきたい。

 

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▶︎今後の構想
どういう地域で取り組むかをまず決め、その接点を持ち、10月以降、プログラムなり
活動をする目標を立てている。

 

【ゲストコメント】
・嘉村
イベントなど一目で楽しそうと思えるようなプログラムをやった事実を残して、
実績を重ねて武器にしていけるようにする段階かと思う。

・谷
やりたいことありきではなくニーズ調査から入られていていいなと思った。
どこと一緒にやるのかをはっきりさせておくと、一緒にやりたい人への投げかけにも
なるので便利。

 

□NPO法人 劇研 杉山 準さん

【活動進化プログラムでの取組内容】
『小劇場文化活性化への提案』から、左京地域の資源を組み合わせ、
繋がりを生み出していく新たな「創造と繋がりの場」の設計と活用に関するアイディア計画づくり

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▶︎伴走を受けて見えてきた課題や成果
芸術活動は、応用や連携をしていけると考えてきた。連携のターゲットを絞っていくために
言語化し、プロジェクトを形成するために具体的にしていく。
企業の持っている持ちビルとおウチを、文化や芸術とからんだ場所や空間として活用できないか。
ここから、テーマとしては、産業とまちと組んで、文化振興できるような試みができないか、
わたしたちはこういうことをしていきたいというStatementを今回考えた。

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▶︎見えてきた課題への対策と気づき
産業と芸術の文化振興をテーマに、不動産関係、芸術系の先生、アーティスト、企業の
人たちに集まってもらい、夢を語る場を設けた。

Statementから、焦らずにじっくりといろんな可能性を探りながらいろんなことを
考えよう。小さなことからやっていこう。
劇場をつくるのをいきなりやるのではなく、最終的にそこにたどりつくように。

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▶︎今後の構想
次のステップとしては、いろいろな人が関われる夏のイベントを計画。
関わる人たちとの対話を深め、具体的な流れに変えていきたい。

 

【ゲストコメント】
・嘉村
京都は、演劇や音楽活動、絵画、NPO、ワークショップをする団体などいるが、
お互いをいかしあえていないと感じる。
どうか関わればいいかの翻訳家のような役割、力の合わせ方が生まれるといい。

・谷
まちづくりと演劇は重要なキーワード。
Playの場が、アトリエ劇研が閉まり足りなくなることに関しては、箱にこだわらず
いろんな場所でできることを思い出した。
演劇の方法論をまちづくりに応用するということは、自分も期待したい。
対話を進めていくための演出と台本を広めていこうとされているんだなと思った。
インプロ(即興演劇)の方法をまちに応用をしていただきたい一方で食えない劇団も
多いので、産業と演劇で組んだ時の問題、劇団の中で不足しがちな政策のサポートも
必要。ぜひ一緒に考えたい。

 

■全体セッション

会場内に4団体のコーナーをつくり、来場者の方々を交えたグループセッションを
行いました。
アクションプランの発表をもとに、自由に意見や感想、アイディアを出し合い、
新たな繋がり、連携の可能性を探っていきました。

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【来場者の声】
・幼児教育とアーティストを結びつけることができると、教育をつながりとした交流から、
後継者づくりと将来のお客さんづくりにもつながるのではないか。
・Sottoさんの話を聞いて、居場所づくりは、共同体験、一緒にご飯を食べるなど、
さりげない活動体験が大事なのかなと思った。
・つながる場があって、話すなかで新しいアイデアが出てくることが面白い。
・子どもがいるのでアフタースクールさんのセッションに参加した。知らない活動、
いろんな活動分野があるので、もっと郊外の人に知ってもらうともっと広がっていくのでは。
知っていただくための活動をやっていけたら見えてくるものもあるのではと思った。
・様々な300くらいある他の活動とコラボする。その活動を並べてみれば連携も生まれるのではと感じた。

 

【参加団体の声】
Sotto:自分たちの団体で考えていること以外にたくさんのヒントをいただいたように
感じている。消化するのは大変だがそれだけたくさんのものをいただいた。

らくさいライフスタイル:この4団体とコラボしてはと言われた。
そうするには、共通のメリットや、関係性を維持していくコストもかかるので、つないで
いく人、伴走型プロジェクトがあれば良き中でいれると思うので、またお願いしたい。

放課後NPOアフタースクール:実績をつくる、どこの地域を目指してますかとか、
詰められていない点について意見いただいた。何かひとつでも一緒に取り組めたらと思う。

劇研:いろんなアイデアいただいた。
それぞれともっとお話したい、連絡先を聞いた人たちもっと話す場をつくりたい。

 

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□ゲストからのメッセージ

・嘉村
ヒントになればの話として、思いを持たない限り何も始まらないので発信し続けるのは
重要だけれど、自分だけで自分の商品をPRするって難しい。
自分のことを売り込むのではなく、志を共にするいくつかの人仲間でたちで押し付けの
営業にならないような広め方が京都に合っているのでは。

・谷
自殺の低い地域のフィールドワークをした人がわかったことは、親密な関係が少ない
ということ。薄く広く、何か困った時に軽めに相談に乗る、別の人を紹介するというやり方。
日常的に知り合う人にちょっとした親切をしておく。少し何ができるか、それでSottoさんに
行く人を少なくすることができるのではないか。
楽しかった場が、それだけではつながらない。
自分は日常で何をするかで、広がっていくのでは。

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