【イベントレポート】北区つながるワークショップ「あなたにピッタリな“beの肩書き”は?」-自分らしく暮らしを楽しむヒントを見つける-

レポート2019年02月28日

「あなたにピッタリな“beの肩書き”は?」-自分らしく暮らしを楽しむヒントを見つける-

 

 

北区で「何か楽しいことをやってみたい人」「やりたいと思っていることにヒントが欲しい人」を後押しするイベント“北区つながるワークショップ”。2月10日(日)に第4回「あなたにピッタリな“beの肩書き”は?」-自分らしく暮らしを楽しむヒントを見つける-を開催しました。

 

 

肩書きを与えるのは誰か?

今回のゲストは、京都精華大学にてソーシャルデザインを教えている兼松佳宏さん。10年程前から勉強家という肩書きを使われています。

 

「勉強家の兼松と申します。勉強家って肩書き変ですよね。(笑)本来は自分から名乗るものではなくて、人から言われるものだと思います。もうすっかり慣れましたが、「勉強家って何なんですか?」とよく質問されるので、毎回そのとき思いついたことを説明するようにしています。自分にとって大きな意味のある肩書きであっても、外に向けて名乗るとなると自分がものすごく問われることになる。そういう状況にずっと身を置いている感じです。」

 


beの肩書きの裏には、兼松さん自身も肩書きに悩んでいた20代があると言います。

「名刺に書いてある肩書き(doの肩書き)って誰かから与えられたものなので、むずがゆいときもあると思うんですよね。そうなんだけどなんか違うみたいな。それで最近では、「肩書きは面倒だからいらない」という人が増えていました。それも素敵な考え方ではあるのですが、誰かと一緒に何かをしようとするときに、何を頼んだら良いのかわからないこともある。だからこそbeの肩書きという本来の自分に寄り添った肩書きをそれぞれが持ち、それを共有することで、仕事をするときのミスマッチが減ったり、愛のあるムチャブリが増えたり、いかしあうつながりが育まれていくといいなと思ってます。」

 

自分の中のマグマを知れると自分らしくいられる

 

「僕には尊敬するバスの運転手さんがいるんです。気遣い上手なセラピストのような運転手もいれば、車内アナウンスで笑いを取るコメディアンのような運転手もいて、それぞれが仕事に誇りをもっていて乗っている方も気持ちいい。きっとその人の名刺には「バス運転士」としか書いてないんですけど、コメディアンのような人なら多分お笑い番組をみて次のネタはどうしようか、とか研究しているんじゃないかと思ったり。でも、あくまでその人にとっての舞台は漫才劇場ではなくバスの中なんですよね。他にも、コメディアンのような保育士さんがいたら人気者になるだろうし、最先端の教育モデルとして注目されているレッジョ・エミリアでは、美的感覚を刺激する建築家やアーティストのような保育士さんが求められています。

 

beの肩書きワークショップは、doの肩書きだけではわからない、その人の良さ、まだ言葉になっていないものを形にして名付けるという方法だと言います。兼松さんはこれを誰にでも利用できる形で広げており、皆さんにも試してみて欲しいと伝えました。

 

「beの肩書きのワークショップは、お互いのあり方に名前を付けて交換するのですが、大事なのはさまざまな候補の中から自分で選ぶことです。つまり自分で自分に肩書きを与えるということ。僕が大学教員と名乗るためには契約書が必要だけど、勉強家は誰でも名乗れます。でも、beの部分はdoに追いやられてしまいがちなので、思い出せすために毎朝「わたしの仕事は、勉強家」と唱えるようにしています。」

 

自分に向けて唱えることで自分の中から湧き上がる暮らしの楽しみ方を見つけていける。beの肩書きは自分のためのおまじないなのです。

 

 

beの肩書きの見つけ方

実際のワークショップに入る前に、beの肩書きを見つける際の3つのポイント、ユーダイモニア、リフレーミング、メタファーについて話して下さいました。

 

◉ユーダイモニア

ユーダイモニアはアリストテレスの言葉。アリストテレスは幸せをについて、自分の可能性が最大限に発揮されている幸せ(ユーダイモニア)と快楽的な幸せ(ヘドニア)の二種類に分類しました。例えば同じパチンコであっても、単なる暇つぶしであればヘドニアであり、そうではなくパチンコ店に行くことで地域の人とつながりを生み出していたり、パチンコジャーナリストとして活躍できるくらい研究したりしているとユーダイモニアになります。

 

そのヒントは「自分では当たり前だけど、周りからスゴイと言われること」や「何かに没頭している瞬間」、「感動したときに思わずやってしまうこと」だそう。

 

◉リフレーミング

リフレーミングはひとつの変わらない事実について、物事の捉え方を変えること。本人にとってはコンプレックスに思っていることでも、誰かにとってはチャーミングポイントとなることもたくさんあります。無理に短所を治そうとすることで、その人らしさが半減してしまうこともあるでしょう。

 

リフレーミングは安心できる他者からの言葉によって起こることが多く、実は兼松さんにとっての勉強家も友人から言われた一言だったのでした。その瞬間「何をやっても中途半端な人」という自己否定が、「いつも試行錯誤を繰り返して一生懸命取り組む人」として肯定的に捉えられるようになったと言います。失敗をオープンにできるアマチュアだからこそ、その道のプロが敢えてやらないような発見を生み出すこともあるのです。

 

◉メタファー

今回のワークショップでは、話し手が4分話をし、それを聞いた二人が「〇〇のような人ですね」と例えてゆきます。今回はさまざまな職業から選びましたが、食べ物しばりでやることもあり、例えば「かけるものが変わってもシンプルな筋をとおすかき氷のような人」「食べ方に色々な正解のあるたい焼きのような人」など、その人らしさをさまざまなメタファーで表現して、しっくりくる肩書きを見つけていきます。大切なのはメタファーが意味することを深堀りしていくことで、しっくりこなければどんどんちゃぶ台返ししていっていい、と兼松さんはいいます。

 

 

後半のワークショップでは、3人グループとなり、ユーダイモニアについてのセルフインタビューに答えた後、それを表現していそうな職業を職業リストの中からピ選びます。

 

 

その後、話し手、聞き手、メモ係に分かれて、話し手はその職業が象徴することを聞き手に話ます。聞き手とメモ係はその話を聞き終わった後、話し手が選んだ職業名の前につく部分に一言を添えてメッセージカードに記入して渡します。これを全員が受け取れるように3回繰り返していきました。

お互いの肩書きを深堀していくうちに、参加者同士は自然と打ち解け合い、メッセージカードを渡し合う場面では会場が温かい空気に包まれていました。参加者からは普段の肩書きとは別に出来る時は今もらったメッセージカードで自己紹介したいという声や、改めて自分と対話しながら自分のユーダイモニアが何なのかということを知れたという声が上がっていました。

今回で最後となった北区つながるワークショップ。参加された方の中には実際に一歩を踏み出される方もおり、次につながる場となったのではないでしょうか。

 

CONTACT