【イベントレポート】北区つながるワークショップ「ランニングブームの裏側で」-スポーツを楽しみながら地域の人々が繫がる-

レポート2018年12月07日

北区つながるワークショップ「ランニングブームの裏側で」-スポーツを楽しみながら地域の人々が繫がる-

北区で「何か楽しいことをやってみたい人」「やりたいと思っていることにヒントが欲しい人」を後押しをするためのイベント  “北区つながるワークショップ” 。11月24日(土)に第二回「ランニングブームの裏側で~スポーツを楽しみながら地域の人々が繋がる」を開催しました。

 

今回のゲストは翌日に大阪マラソンの出場を控えていた『パトラン京都』チーム代表の鳥本光照さん。走ることにちょっとした工夫を持たせることで、健康的に体を動かしながら町の防犯に取り組めたり、幅広い世代間での交流が生まれている、まさに一石三鳥のパトランの取り組みについて詳しくお伺いすることができました。

 

 

5年ほど前に、現在パトランジャパンの代表が主催するイベントに参加していたメンバーの一人が夜道で危ない目にあったことをきっかけに、どうしたら町の現状を変えていけるだろうと考え、パトロールしながらランニングを行う『パトラン』をスタートさせました。鳥本さんは知人からパトランの話を聞き、地域の役に立ちながら、仲間と楽しく運動を続けることができる取り組みに感動し、すぐさま自ら「パトラン京都」を立ち上げます。

「ランニングとかウォーキングって一人でやるものなんで、孤独だったり、怠けがちで長く続かないことが多いんです。それに対してパトランはとてもいい取り組みだなぁと思ったんです。やってみようよ!と仲間に声をかけたのですが、仲間が住む地域がばらばらだったので、じゃあ各地でやらなきゃいけないねって」

立ち上げからたった1年で、鳥本さんの思いに賛同したメンバーをはじめ「パトラン京都」には70名ものメンバーがが登録し、京都府内15か所でパトランの活動を続けています。

 


(※パトランの様子 鳥本さん提供)

参加しているメンバーが住む地域を中心に、駅やその周辺で1時間~30分ほど赤い「パトロールランニング」と書かれたジャケットを着用して走り、犯罪の防止に取り組んでいます。また、児童が登下校する時間帯にパトランを行うことも。子供、女性、お年寄りが安心して暮らせる地域社会を実現しようと精力的に取り組みを続けています。

 


(※パトランの様子 鳥本さん提供)

また、「あなたの挨拶で京都を、世界を変えてみませんか?」を合言葉に、ただ走るだけでなくすれ違う人に必ず挨拶をするということもパトランの大切な取り組みの一つ。

「最初は挨拶をしても全然返事が返ってこないんです。それが月に1回ペースでパトランを行って いると、半年後には挨拶が返ってくるようになるんです。ただ「こんばんは」って言うだけなんですが、少しずつでも地域が良くなっていけばいいなと思っています」

自分の住む地域にこういう人がいるから安全だよね、そんな声がパトランメンバーの活動する意義を生み出しています。

 
 パトラン京都では、20~70代の幅広い年代のメンバーが参加しています。スポーツ経験者ばかりかと思いきや、街づくりに興味があってやってみたいという方や、子供への犯罪防止として自分ができる取り組みを探してパトランにたどり着いたという方も。

またパトロールを目的としているため、走る速度も参加者の速度に合わせてゆっくりと走ります。走るのが苦手という方は、ウォーキングをしながらゴミ拾いをするチームに参加しているそうです。パトランを鳥本さんは「責任感はあるけれど、義務感はないパトロール」と言います。

 


(※パトランの様子 鳥本さん提供)

「Facebookでイベントを立ち上げて随時行っていますが、参加するしないも自分の自由なんで、100%自主参加なんです。自分がやりたいと思った時にランニングをしながらパトロールを行い、自分の住む町の安全が高まっていく。また活動を通じて地域の人たちや、全国に同じ志をもつ仲間と繋がりも生まれる。そこに僕らランナーは喜びを感じて続けています」

 

後半は鳥本さんのお話していただいた取り組みのように、地域にとっても、自分にとっても一石三鳥となるアイデアを考えるワークショップを行いました。

 

「スポーツ×〇〇」をお題にアイデアを考えるのですが、今回はとてもユニークな方法で取り組みました。好きなスポーツや過去に取り組んだことがあるスポーツなど、自分が関連するスポーツを紙に書き、次に自然環境保護や安心安全な暮らしなど「街にこんなこと・こんな視点があったらいいな」という取り組みが書かれた20枚ほどのカードの束から無作為に二枚手に取ります。

 

 

そして自分が書いたスポーツと、無作為にとった2つの手札を掛け合わせて、地域にとっても、自分にとっても一石三鳥のプロジェクトを考えました。「すごく難しい~!」「どうしよう!」なんて声もあちらこちらで聞こえていましたが、ユニークなアイデアがたくさん!

 

 

自転車×働き方改革×文化保全を掛け合わせた「エクストリーム出社」は、自転車で出社する前に文化財に異変がないかチェックするという重要文化財が多い京都ならではのアイデア。他にも家で使っていない健康器具を持ち寄って、地域のパパ・ママが活用できるジムを作る「腹筋カフェ」など様々な面白い企画がたくさん立ち上がりました。

 

 

今回のワークショップで、日常当たり前のように過ごしている中にほんの少し、アイデアや遊び心をプラスすることで、地域や自分にとっての一石三鳥は生まれるのだと感じました。

また、一人の思いから生まれた活動が人とつながり、交わることで周りをまきこむ大きな活動になっていき、その結果、みんなにとって暮らしやすい地域になっていく。そのことを改めてパトラン京都の鳥本さんのお話や、参加されている皆さんの様子から感じることができた回となりました。

 

参加者の皆さんからは「パトランの活動が大変魅力的で素晴らしい。ぜひ北区でも一緒に活動したい!」「普段、何気なく行っているランニングが防犯につながると思うと、しっかり周りを見ながら走ろうと思った」などパトランの活動を知って、防犯に対する意識が変わったという嬉しい感想もいただきました。

また、「スポーツを基に社会問題・課題の解決につながる発想ができるんだと思った」「色んな人がいれば、色んなアイデアが生まれ、安心安全なまちづくりができるのではないかと感じた」など町づくりに対して、アイデアを出すワークショップを楽しんでいただいた方も多かったようです。

次回は、平成31年1月20日(日)、午前10時~12時、「MaManKYOTO」さんをゲストに「パパやママが楽しめる場所のつくり方」-企画が苦手だったからできたこと-を開催します!ぜひご参加ください。

 

【ライター:三上 由香利】

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