【活動進化プログラム】公開講座レポート #05
レポート2018年01月05日
#05「ママと子どもが暮らしやすい京都を、実践者とトコトン考える!」
12/15(金)、“みんなごと”のまちづくり推進事業 活動進化プログラムの
第5回目の公開講座が開催されました。
“みんなごと”のまちづくり推進事業は、
京都がもっとよくなる、もっと住みやすくなる提案を、
市民から募集し、行政と民間が一体となって実現を目指す協働事業。
全5回の公開講座では、まちづくり・お宝バンク に提案をされている方、または
これから提案しようと考えている市民に向けて、企画、広報、資金調達の手法の講座、
実践者とのトークがおこなわれます。
(※みんなでつくる京都 まちづくり・お宝バンク)
第5回目となる今回は、
「ママと子どもが暮らしやすい京都を、実践者とトコトン考える!」がテーマです。
寺町三条にある天性寺さんで開催された今回の講座では、
赤ちゃんの泣き声や子どもの遊び声を聞きながら和やかに、
畳の上に座布団を敷き、ゲストと参加者が膝をつき合わせながらのトークが行われました。
ゲストはコドモトから山本さん(写真の左)
MaMan KYOTOから岡田さん(写真の右)と柳原さん(写真の真ん中)
ゲストトーク①:山本さん(コドモト)
祇園祭を子どもと安心して楽しめるような環境整備、祇園祭全体で子ども歓迎の空気を
作っていくことをめざして、2017年より「こどもと行こう!祇園祭」の取組みを始動されました。
山本さんは2歳の母。北海道出身で、ずっとデザインの仕事をされてきました。
妊娠5カ月の時に京都に引っ越し、子連れの大変さを体感する中、
産後8カ月頃に子連れお出かけ情報を掲載する「あかちゃんと一緒 京都おでかけ手帖」の
取組みに参加して取材やライティングを担当されました。
本の完成後は産婦人科などで本がお母さんの手元に届くように活動をされたとのことです。
「あかちゃんと一緒 京都おでかけ手帖」で子連れお出かけ情報の発信をする中で、
子連れでは行きにくいタブー感がある場所のタブーに挑戦していきたいと考えるようになり、
2016年の12月に任意団体の「コドモト」を設立されました。
「コドモト」には多様な価値観をもった子どもと未来を育んでいきたい。
未来の子どもへ向けて、今の子どもと出来ることを取り組んでいきたい。
そんな思いが込められています。
みんな子どもでした。
そんな子どもが成長して社会を支えているのに、こどもが社会の中から隔離されて育てられている。
子育てが社会と分断されて行われないように、大人も子供も共生するにはどうすればいいのか?
タブーへの挑戦をテーマに掲げる中、
特に文化伝統芸術への参加のハードルが高いと感じると共に、
子育て世代の親自身が、子どもイベントにはたくさん集まるが、
子連れが行きにくい場所に子どもと行かなくなってきている状況があると言います。
多様な感性が集まる場や伝統文化芸術に触れる機会に触れる機会を減らしてしまうと、
子どもの感性が貧弱になり、ゆくゆくは文化の衰退にもつながる。
こういった問題意識の中で、タブーが重なりあっている「祇園祭」に注目、
取り組みを始めたのが、「こどもと行こう!祇園祭」でした。
「コドモト」は2人のコアメンバーと、
多様な背景を持つ10名程度の実行員会の方で取り組まれています。
「こどもと行こう!祇園祭」では、協力店さんや京都ごみゼロ大作戦の方にも協力してもらいながら、
事前説明会、モデルルートやステーションが掲載されているマップの配布。
22カ所の子どもステーションの設置や協力店さんへのオペレーション。
親子で祇園祭を見に行くツアーの企画などを実施、取組みの様子をSNS等で情報発信されました。
「こどもと行こう!祇園祭」の取組みが子どもの様々な関心を引き出し、
多様な価値観をはぐくむ種まきになる。京都が誇る素晴らしい伝統のお祭りを身近に体験することで、
子どもが豊かな原体験を持ち、感性豊かに育った子どもが、よりよい社会を作っていくと言います。
ゲストトーク②:岡田さん、柳原さん(MaManKYOTO)
岡田さんの本業は京都旅企画でコーディネーター、柳原さんはフリーの書籍編集をされており、
MaManKYOTOは2人を含めた4人で活動されています。
MaManKYOTO の始まりは2年前。ThinkThank(四条烏丸近くにあるオープンスペース)で
場所を活用して何かしたい人の募集がなされた際に2人が出会い、
ママがキラキラ輝ける場所を作りたいと意気投合したのがきっかけでした。
みんなの前で発表したことに背中を押され、Think Thankで定期的にイベントを開催するようになりました。
メンバーのつながりがきっかけとなり天性寺で開催された「てらまる」は、
ママが普段なかなか行けない京都のマルシェを楽しめるイベントです。
出展者さんや音楽家さんも巻き込んだ初めてのイベントで、
知名度も一気に上がり、初回は200名以上の方が参加されたそうです。
3回目の「てらまる」では食にこだわった出展者さんを呼び、
参加した人がゆっくり楽しめるイベントとなりました。
この他にも、一休さん体験や音楽のコンサートなど、
京都だからこそのイベントや生の楽器に触れられるイベントを企画されてきました。
MaManKYOTOの3つの活動方針
・自分たちが楽しむ
自分たちが「これ知りたい」「これやりたい」ということをイベントにされており、
お寺図書館、一休さん体験、イングリッシュ寺、助産師さんに来ていただくイベントを
企画してきたそうです。楽しみながら活動する中で、
ママが楽しんでいると子どもはぐずらない。という気づきもあったとか。
・無理をしない
MaManKYOTOは、ペースを落としてもずっとずっと続けていける活動にしていこうと考えておられます。
メンバーそれぞれが子育てをするママの為、メンバーの出産の時期にはペースを落として活動し、
活動の広報もFacebookのみでおこなっていて、負担を少なくしているとのことでした。
・周りの意見をどんどん取り込む
元々自分たちでは何もできないという所からスタートしているため、
できる人にどんどんお願いしていくというスタイルで企画しているそうです。
お願いする中で出てきた意見を取り入れながらイベントにしているということでした。
育児、仕事に加えて数々のイベントを開催するゲストの方々、
時間の使い方や家族との関係、協力者の集め方はどのようにしているのでしょうか?
会場からはいくつもの質問が投げかけられ、ゲストの方にお答えいただきました。
仕事と活動のバランス・周りとの関係は?
・仕事も活動も同時進行のような状況で、仕事を調整しても、
正直、寝る時間が無くなってしまうこともあったそうです。
日常的に手伝ってもらえる人がいない状況で、手抜きしている部分もあると思うが、
料理の手抜きはしないと決めており、その他の家事については、家族と話合いながら、
陰の協力者になってもらっているということでした。
・大きなイベントは仕事モード、小さなイベントは息抜きとしてやっているそうです。
専業主婦だった時は息の抜き方が分からなかったが、イベント開催を通して、
色んな人と出会い、育児のコツや考え方を知ることが出来て、それが家事にも活かせるようになった。
それが育児に対する自信にもなるし、協力者が増えて楽にもなったと言います。
大きなイベントの時は、旦那さんはあらかじめ協力メンバーの数にいれているそうです。
・仕事が忙しい時は大変でも、それ以上に次をしたくなる気になるから続けているそうです。
活動自体は忙しいけれど、精神的には悩みの発散につながり、楽になった。
計算したわけではないけど。足を踏み込んでみたら意外とできたということでした。
特に家族との関係は重要で、活動と家事育児を分けて活動していると、
どこかで嘘をついてしまうことになり、上手くいかない場合が多いといいます。
時間については、そもそも無いので、準備に時間をかけすぎないことが大事とのことでした。
準備に時間をかけるより、本番を楽しむ。
子育てを活動に、活動を子育てに活かしていくことの方が大事だとおっしゃいました。
訴えかけの方向を変えると多様な層にも伝わる
ママの為。子ども為。ではなく、受益者は社会全体。
未来の社会の為だと伝えるとみんなが対象になり、自分事に落とし込んでくれると言います。
会場からは、育児のクラウドソーシングサービスの登録者数が京都で4人であることを例に挙げ、
ちょっと育児を離れた世代がこういったサービスを利用するなど、
家事を手伝ってくれる人を増やすにはどうすればいいか?という質問があがりました。
これに対しては、
・京都は新しいサービスをちょっと様子を見る?
・子育て向けのイベントで情報を出す。家事を好きなお母さんを一人捕まえる。
そこから広げていくといったアイデアがあげられました。
ここで一旦、休憩時間となりましたが、
休憩時間が本番というように、会場はワイワイ賑やか、後半に向けて盛り上がっていきます。
後半はみんなごとお宝バンクに取組提案していただいたオトナリラボの芳野さんに
事業内容についてのご説明をしていただきました。
オトナリラボは子どもと一緒に仕事が出来るコワーキングスペース。
京都・五条河原町近くに2018年、4月オープン(1月プレオープン)します。
ちょっと頼れる「お隣さん」をコンセプトとされていて、
子連れ勤務事業所としては12月よりスタートされています。
保育園に預けるかどうかという0か100の選択ではなく、中間的な役割になればいいなと考えておられます。
説明の中では、働くママたちとの対話の中で出て来た生の声を個人・社会/子育て・仕事という
2軸によるMAPに配置したモヤモヤMAPを発表してくださいました。
その後は、モヤモヤMapの中で関心のあるテーマに分かれて話し合われ、
それぞれのグループで話された内容が共有されました。
○個人・子育て
保育園に預けても仕事と子育ての往復になる。保育園に預けると、お母さん同士の会話の機会も少なくなる。
喋れる機会があればいいなと思う。
○個人・仕事
時間をどう作るか?という話題から始まり、「ママだから」という社会の一般常識的な考え方は置いておいて、
自分の心に従って動いていくことで気持ちが楽になるのではないか?という話で盛り上がったそうです。
○社会・子育て
子どもの元に遊びに行く活動をしている男性2名の話で盛り上がり、
ママ友にも話せないことが話せることが人気で呼ばれたりするそうです。
京都は文化に触れる機会は多く、自分らしく心地よく触れ合える場所は多いのではないか?という話も出ました。
○社会・仕事
家事をしてくれる人を探すには?ということが話から、
育児休業が1年は長い?というような制度上の問題も話題に上がりました。私はこのグループに参加していましたが、
クラウドソーシングサービスやオトナリラボさんのようなワークスペースなど、
多様な選択肢を上手く活用していくことの大切さを感じていました。
【参加者の感想】
・勇気がでた。何か出来そう。
・ママになることがより楽しみになりました!
・育メンになるために何が必要か考える。
・色々な情報交換の場になってよかった。
・お子さまもたくさんいて、楽しかった。みんなも幸せそうだと感じました。
【今回の講座をまとめていただきました!】
今回は、グラフィックレコーディングを田中なみかさんにお願いし、
講座の内容を、丁寧きれいにまとめていただきました!
◎次回案内
公開講座は今回で全てが終了してしまいましたが、
【”みんなごと”のまちづくり推進事業 交流会3.0 vol.2】を
1月20日(土)に同志社大学の今出川キャンパスで開催します。
京都で何かしていきたいと思っている全ての人に、
「盛り上がりを生み出している場づくり」や「いつもと違う場の作り方の体験プログラム」から、
アイデアやつながりを持って帰っていただきたいと考えておりますので、是非お越しくださいませ。
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