【活動進化プログラム】公開講座レポート #02

レポート2017年09月26日

#02 「チャリティー総額1000万を超えた、社会起業家の広報術」

 

9/15(金)、“みんなごと”のまちづくり推進事業 活動進化プログラムの
第2回目の公開講座が開催されました。

“みんなごと”のまちづくり推進事業は、
京都がもっとよくなる、もっと住みやすくなる提案を、
市民から募集し、行政と民間が一体となって実現を目指す協働事業。

全5回の公開講座では、まちづくり・お宝バンク に提案をされている方、または、
これから提案しようと考えている市民に向けて、企画、広報、資金調達の手法を学んで頂きます。
(※みんなでつくる京都 まちづくり・お宝バンク)

第2回目となる今回は、
「チャリティー総額1000万を超えた、社会起業家の広報術」がテーマです。

事業を進める上で必要となってくる広報活動。
SNSで誰もが簡単に発信できるようになった時代に、
より多くの人に知ってもらうにはどうすれば良いのでしょうか?

今回の講座では、JAMMIN合同会社Co-founderの高橋佳吾さんをゲストに迎え、
会場が一体となって考え悩み、伝え合う場となりました。

JAMMINは1週間限定販売のチャリティー専門のファッションブランド。

毎週1つのNGO/NPOを取り上げ、それぞれの団体の
ビジョンやポジティブなストーリーからインスパイアされ、
デザインしたTシャツを1週間限定で販売。

全ての商品の売上の一部(Tシャツ1枚につき700円)が、
毎週のチャリティー先NGO/NPOに寄付されます。

講座では、タイトルである1000万よりさらに400万以上増えた、
チャリティー総額1400万を超えたJAMMINの事業が広がってきた過程を、
広報的な視点からお話しくださいました。


講義はJAMMINの創業に至るまで、高橋さんの体験されたことから始まりました。

高橋さんは新卒で建設コンサルタント会社に入社し、
途上国での上下水道の整備など国際開発のお仕事されていたそうです。

仕事で訪れた、フィリピンのスラム街の光景を目の当たりにした時、
自分は何年何十年かけて解決しようとしているが、
今目の前で起きていることは解決出来ない。そんな葛藤を覚えたのだとか。

 

そんな中で、支援先のNPOのTシャツを作るという
アイデアに至ったのは、NPOとは無縁である六本木のクラブでした。
自分の仕事の話をする時に、伝え方一つで「NGOやNPOの活動はすごくモテる」ことを実感し、

実はNPOの活動でも世の中に知られてない活動がいっぱいあって、
それを世の中に発信することはNPOにとっても、
社会にとっても良いことなのではないかと思ったそうです。

 

今回の講座の参加者から事前に頂いた質問に、
広報の一歩目は何をしたのか?という問いがありました。

これに対して高橋さんは、
NPOに一つ一つ直接アポイントを取って、Tシャツを作っていったと答えます。
NPOのコアなファンをターゲットに「NPOさんに紹介してもらったJAMMIN」という
位置づけで認知を増やしていったということでした。

次第に周囲からは、
「毎週、週替わりでTシャツ作っている、へんてこな兄ちゃん達がいるぞ」
という風に知られていったといいます。

そこから現在では、NPO業界のライトなファン(寄付はしていないが、SNSにいいね!や、
フォローしている人、テーマに共感しそうな人)をターゲットとされているようで、
そういったターゲットに対しても、直接アプローチしているとのことでした。

少しずつ手間を掛けてやってきたことが、
大きな資産となって幅広い人に寄付を集める要因となったと言います。

講義の中では「泥臭さ」という言葉が何度も聞かれましたが、
「誰に」対して発信していくのか?ということを明確にすることで、
より着実に認知を広げていく足掛かりとしているように思いました。

広報のアプローチ        

多くのNPOはビジョンやミッションを最初に伝えがちですが、
具体的な活動を最初に伝えることで広報効果を高められるといいます。

それは、受け手にとっては具体的な活動の方が、イメージしやすく、わかりやすいからです。
この「わかりやすさ」は、広報を行う上で重要なのだそうです。

「ギャルが説明できるか?」高橋さんが何度か口にした言葉ですが、
多くの団体がわかりやすく「シンプル」に伝えるという部分に苦労されているように思います。

様々な情報にアクセスし比較できる、簡単に人が動いてくれない時代においては、
「誰でも口にしやすい」ということが大切になるのです。

と、同時に、想いを持って取り組んでいるソーシャルな活動だからこそ、
「なんとなく良い。カッコいい」といった共感を与えられやすい。

JAMMINでは、プロジェクトをシンプルに伝えた上で、
NPOのストーリー、そこからインスパイアされたデザインのTシャツ、
JAMMINの想いを載せて伝えることで、共感を得られる発信につなげられています。

講義ではこの他にも、広報する上で意識していることなどをお話しくださいました。

講義の終わりの質問タイムでは、
チャリティーという言葉に対してあまりポジティブなイメージを持っていない人に対しては
どのように広報するのか?といった質問も上げられました。
これに対しては、現時点ではターゲットとしていないが、
もっと長期的な時間とお金をもって挑戦していく課題ではあると答えていました。

参加者から数多くの質問が投げかけられ、
ビジネスモデルや購買層など、事業に関する質問も多く投げかけられました。

 

広報術を学ぶ講座で、認知症を考える1時間

後半はRUN伴2017京都実行委員会の田端さんと城山さんに活動についてお話しを伺いつつ、
会場にいる全員でRUN伴2017の広報について一緒に考えてみるという試みがなされました。

RUN伴2017

RUN伴は、10/22(日)に開催される、認知症の人や家族、支援者、
一般の人が少しずつリレーしながら一つのタスキをつなぎゴールを目指すイベントです。

イベントを通して、自分の暮らす地域の人たちと出会い、お互いについて知ることで
「認知症になっても安心して暮らせるまち」を目指し活動されています。

2011年に北海道から始まり全国に広がった取り組みで、京都では2014年から開催されています。
田端さんと城山さんは京都における実行委員として、
地域の方に認知症のことを知って頂きたいとのことでした。

会場からは
オレンジの根拠は何か?コースはどのように決まるのか?
どういった参加の仕方があって、参加者が増えることで何を期待しているのか?など
講座参加者が外部の視点となって、数多くの質問を投げかけました。

RUN伴という取組みを考えながらも、
どんな団体、個人でも抱えている広報に関する課題感を、会場全体で感じる時間になりました。

その後のワークショップでは、近くにいる人とグループとなり、
RUN伴の取組みを、若い人に伝える方法について話し合いが行われました。

 

それぞれのグループの発表では、
・オレンジのものを身近な人に渡す。
・コースを迷うことを楽しむイベントにする。
・忘れてしまった出来事を歌と映像にする。
・左右違う靴を履く。といったアイデアが上がりました。

私が参加したグループでは、具体的なアイデアを出すことが出来ず、
認知症を自分事として考えるにはどうすればいいか?
このイベントが地域の人々にどのように影響を与えるのか?
といったことが話し合われました。

いくつかのグループでは、
具体的なアイデア出しにたどり着くまでに疑問にぶつかり、
広報における難しさを実感しているようでした。

高橋さんからは、ターゲットは考えていないとした上で、
・ドラえもんのかぶり物して走る。
・VRで認知症を体験してもらう。
・左右違う色の靴を履くのをインスタでアップしてもらう。
といったアイデアが示されました。

RUN伴実行委員会の田端さん、城山さん、ご協力頂き誠にありがとうございました。

参加者の感想

・後半のワークで皆のアイデアが大変面白く、刺激を受けました。
認知症に対するイメージが変わりました。

・今作っている団体紹介リーフレットの構成を少し変えてみようと思います!

・サービスの受益者や、まったく関係のない人の視点をおもんぱかる。
課題意識を持たない人にも話をしてみる。自然に話が出来るスキルを身につける。

・広報の仕方で、簡単で分かりやすいキャッチをつけるということを注意しようとなった。

◆グラフィックレコーディング

今回もわかりやすくて、見ていて楽しいグラフィックを鈴木さよさんに描いて頂きました!

振り返りシート

そして、今回みなさんにご記入いただいた振り返りシートをまとめました。
下記よりご覧ください。

⇨振り返りまとめ「講座を受ける前後での気づきと変化」

⇨振り返りまとめ「変化を経て挑戦する最初の一歩」

 

「チャリティー総額1000万を超えた、社会起業家の広報術」をテーマに開催された今回の講座。
次回は10/20(金)に「資金調達の経験から見えてきた、共感するビジョンの必要性」について、
READYFOR 株式会社の富澤 由佳さんにお話頂きます。

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