【活動進化プログラム】公開講座レポート #03

イベント2017年01月18日

#03 PR/Marketing メディアを使ったマーケティング戦略のつくりかた

限られた時間のなかで、成果が求められるまちづくり団体の広報やマーケティング。
一方でWEBとソーシャルメディアを中心に
低コストでも実践できる戦略と戦術が生まれてきています。
それぞれの各ツールの特徴を理解し、ケーススタディを交えながら
マーケティング戦略のフレームワークをNPO法人「SVP東京」の加藤たけしさんと
「前田展広事務所 / 京都ソーシャルイノベーション研究所」の前田 展広さんと一緒に考えていきました。

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□加藤たけしさんのPR/Marketing(NPO法人SVP東京)    

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マーケティングや企業の経営改革コンサルティングを行う会社に所属する一方で
ソーシャルメディアの本の執筆や社会起業家の支援
そして、動画配信をライブで行うプロデュースを行ったり
ソーシャルアパートメントに住んだりと夫婦でも活動をしている加藤さん。

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「目的を明確にすること」と「各メディアの特徴を理解すること」を踏まえた上で
「マーケティング戦略の全体設計をすること」という戦略をシェアしていただきました。

 

「Webマーケティングの施策例と整理」

「コストをかけずにスタートできる」「効果測定がしやすい」
「PDCAサイクルを回しやすい」「取り組み全てが資産になる」と
Webマーケティングの特徴を挙げられました。

目的を「集客」「接客」「再来訪」の3つに整理し
目的に応じて施策を設計していくことが重要。

そして、購買ファネルと呼ばれる「AIDMAの法則」
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)
→ Memory(記憶)→ Action(行動)というユーザーのフェーズに合わせて
どう働きかけるかも大切と補足してくださいました。

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「ソーシャルメディアの台頭、特徴」

世界に浸透するシェアの文化において、情報共有の量が増えています。
広告メッセージは1日約3000件。情報の約99%はスルーされてしまいます。

友人や家族といった身近な人を介して伝わる”透明な”時代において
それぞれのメディアの特徴を理解することが必要と話されます。

Facebookは、近況報告。「エッジランク」というアルゴニズムを意識して
最適化して配信することができるので知っていてほしい。
twitterは、情報収集。「リアルタイム性」と「拡散性」。
LINEは、連絡手段。利用者が多いという「生活浸透度」がとても高く
インフラのように不可欠な今後注目のメディアです。

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「マーケティング戦略策定のためのフレームワーク」

目的とメディアを理解した上で、全体設計をしていきます。
認知獲得→活動理解→行動喚起→ファン化という体験した方が
拡散していくとまた新しい方が認知するいうループができて
活動をしていくだけでサイクルができていくことをイメージしてほしいです。

そして、ソーシャルメディアは、万能ではないので
オンラインとオフラインの施策を融合させていくことが必要です。

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 □前田展広さんのPR/Marketing(前田展広事務所)    

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社会課題を解決していくビジネスを増やしていこうという
京都市ソーシャルイノベーション研究所や、個人事務所で
いろいろなプロジェクトに関わっている前田さん。

プロジェクトが、螺旋を描きながら物事が動いていくイメージをしながら
プロジェクトの生態系が豊かに育まれること、状態を見える化して
新たな価値や次の展開を生み出すことをお手伝されているそうです。

当日は集客を行うだけではなく。一緒に価値観を育んでもらえる人との
出会いや事業の展開などの目的も踏まえて
何をどういうプロセスで伝えるかについて、シェアしていただきました。

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「人に伝えてもらえる状況をつくる」

自分たちが発信をするのではなく、第三者が広めてくれて
いろんな人を呼び込んでくれるような状況をつくります。

『naranara』という奈良県の観光のフリーペーパーを作成するプロセスとして
県内の人にいろんな意見を聞き、対話していくことによって
地域の方々がじぶんごととなり、設置も行なっていただけました。

どのプロジェクトもいろんな人たちに聞くプロセスを大事にしています。

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「私たちと異質な人との間に、楽しく関われる切り口をつくる」

いろんな人が関われる切り口を広報します。
奈良県で現代アート展を開催するにあたり、アートに興味のある人は集まるが
もっと多様な人に参加してほしいと、掃除をみんなでしましょう
という呼びかけを行い、多様な人たちを巻き込み、情報発信も行なっていただけました。

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「活動の意味をまとめる、プロセスと内容を活用して、文化たらしめてく」

活動がどういう社会的なインパクトがあったのかを振り返り、定義をしていきます。

事業内だけでなく、外の人にも聞いていくのも良い。生態系を可視化する。
大切にしたい価値観や社会的な意義から新しい取り組みや事業が生まれていきます。

英語の教材を作成している山口書店において、山口書店のファンの方に
インタビューを行い、「知が未来をつくる」というコンセプトのもと新たな事業が進んでいます。

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■クロストークセッション

Q:人が集まってくるときにどうやったらいいのか?
加藤さん、概要を説明していただいた「SVP東京」について
WEBでどうやっているのかを教えてほしい。

 

加藤さん:SVP東京は、社会起業家の支援をする集団。
パートナーはみんな別の本業を持ってプロボノとして関わっている。
120人くらいいる。経営支援とお金の支援の両軸で行なっています。
本業を別に持っていて、集まるのが大変なので
オンラインのコミュニケーションを使用しプロジェクトを進めている。

 

Q:具体的な支援先は?

 

加藤さん:e-Educationは、途上国向けの支援を行なっている。
日本にいる若い大学生が、現地に行って教育改革を起こす。
その団体のファンドレイジングの支援やチームビルディング
組織基盤整理を行なっている。
課題外のことについて、SVPがそれぞれの専門性を生かして支援を行います。

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Q:加藤さんはメディア。前田さんは、プロジェクトがどう進んでいくのか?
どんな情報をどんな風に発信すれば人がきてくれるのか?
おすすめポイントやアドバイスされていることは?

 

加藤さん:「認知獲得」のフェーズにおいて、「ペルソナ」を明確にすることが重要。
趣味嗜好や考え方を明確にすると訴求しやすい。どういうものを届けようかを考える。
考えるべきポイントは、すぐできることと中長期できることと分けて考える。
個人の中にあるけど、チーム内で共有されていない。
同じものをイメージできるようにすることが大事。

前田さん:扱うテーマをもとに直接いろいろな人に会いにいく。
人とお話しして、情報を仕入れていく。共感や一緒に取り組んでもらえる位置を探す。
広報は一緒に取り組んでもらえる。

 

Q:会うのも難しいのでは?どんな風に進めているのか?紹介してもらっている?

 

前田さん:片っ端から会っているわけではない。
山口書店の場合、ペルソナと逆かもしれないが
先に物語を立ち上げて、共感していただく。
『naranara』は、外国人観光客を感動させるには?という対話から始まり
お店の情報の英語化など、ご自身で取り組めることが生まれていった。
紙面の情報にはまちの人の顔がある。歴史的な価値観を大切にする方だけでなく
新しい奈良のプレイヤーも出ていいただき様々なレイヤー(階層)がある。
みんながハッピーになる位置を考える。

 

Q:ペルソナについて、何を聞くのか?みんなに聞く問いを探すのが大変なのでは?

 

前田さん:人と対峙した時に、その人が何を好んでいて
何を実現したい人なのかに興味がある。
私が取り組んでいることと、その人のやりたいこととの
重なりの部分を話すと相手が答えやすい。関われる意味や理由をその場で考える。

加藤さん:新しい価値を生むためにお互いの共通項を見出すことによって
付加価値を生み出す。
基本、今やっていることは、効率化を図ることが多いけど
前田さんとのアプローチをミックスさせていくと面白そうだなと。

前田:自分自身ができることは限られている。得意な人がやれる状況を作る。

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Q:特性が違いながらも、見つけていくこと。伝えていくこと。
戦略について、メディアの特性をよくわかってきて
伝えたい相手もイメージがついてきた時に、広報をする場合
実際に実務として、目的を意識しながら、設計をしていくこと。具体的には?

 

加藤さん:ペルソナシートを作る。鮮明に可視化をする。
戦略設計の第一段階ではわかりやすい。アプローチ方法を考えられる。
「カスタマージャーニーマップ(ドナージャーニーマップ)」を用いて
その人がどういうプロセスを経て、どういう感情の動きがあっての設計を行いましょう。
プロセスによるゴールや描くことができる。初期の段階に描くことができれば
やることも明確となり、注力するべきところが見えてくる。
自分だけではなく、みんなで作ることによって、チーム力も高まるかなと思います。

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Q:情報が友人、家族を通じて伝わる時代。
言葉や想いは同じ団体だったら伝わりやすいが、みんなでやっていく場合に
どう越えていくのか?企業とNPO、行政といったセクターを超えたり
違う立場の人たちだったりと発信し合う関係を築くには?

 

加藤さん:セクターが分断されている時代において
本来はもっと交わっていかないと解決していかない。
行動原理が違いすぎる前提を共有する。歩み寄る方法をみんなで模索すること。
海外でいうとトライセクター・リーダー。セクターを
またにかけている経験を積んだ人が日本には少ない。
行動原理が違う人をいかにつなぐのかができると変わっていくのではと考えています。

前田さん:行政と企業、NPOと地域。全て言語が違う。
それぞれにおけるエネルギーの方向も違う。
例えば行政:公益性。企業:利益。ボランティア:自己実現。
それぞれの立場や叶えたいことへの配慮が必要。みんなが納得できるような位置がある。
「お掃除しましょう」といった公益性が高い誰も否定できない入り口を置いてみる。
そういう位置を見つけるのも良いかも。自分ごとになれるように。

 

Q:本業が別にあり、コミットしていることに対して、どうやってうまくやっているのか?

 

加藤さん:そういう課題になっていて、広報を外部のプロボノチームで
担うケースが多くなっている。1つ目に、役割分担をしっかりすること。
2つ目に、みんなが100%で稼働することを前提にしない。
ひずみができて、無理が生じてしまう。60%で組む。バッファを作る。
みんなが意識するのは難しいので、プロボノチームで担当をつける。
リードパートナー。プロマネを設置する。

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□グループワーク

“PR”の一歩目”を考えてみる

・即効性を求めるのではなく長期的な目線を大だと思いました。

・ペルソナを作るのが難しいので、現実の人を当てはめる。

・具体的な活動をしている人が多かったので、頭の整理につながった。
可能性があるかどうかを考えた。

・今までの経験で、無意識に、感覚的にやってきたことを可視化することが大切。
最終的な目標に向けて、企画する人が共有し、ベクトルを合わせる。

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□メッセージ

加藤さん:興味があることを深堀りしてほしい。
広報、PRの目線において、できることとやらないことを決め、取捨選択をする。

前田さん:自分が持っているものを手放して、どうやったら楽しめるかを
一緒に考える。全部、自分でしない。他の人が関われる理由ができる。

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