【活動進化プログラム】公開講座レポート #04

レポート2017年12月08日

#04 「京都が面白くなる空き家の利活用」

 

11/17(金)、“みんなごと”のまちづくり推進事業 活動進化プログラムの
第4回目の公開講座が開催されました。

“みんなごと”のまちづくり推進事業は、
京都がもっとよくなる、もっと住みやすくなる提案を、
市民から募集し、行政と民間が一体となって実現を目指す協働事業。

全5回の公開講座では、まちづくり・お宝バンク に提案をされている方、または、
これから提案しようと考えている市民に向けて、企画、広報、資金調達の手法を学んで頂きます。

(※みんなでつくる京都 まちづくり・お宝バンク)

 

第4回目となる今回は、「京都が面白くなる空き家の利活用」がテーマです。

京都市の2017年の空き家数は約11万戸にのぼり、
空き家率は 14.0%と全国及び政令市平均の空き家率を上回っています。
そんな京都市で3人の実践者をゲストをお招きし事例を通して
空き家活用へのチャレンジをみんなで話しあいました。

ゲストトーク①:佐々木さん(本町エスコーラ)

【安心して失敗できる、学びの場作り】

ブラジル伝統音楽の活動から派生して様々な活動をされている佐々木さん。
東山の空き家を改修してコミュニティスペースや住居として活用する「本町エスコーラ」という活動をされています。

本町エスコーラは、平成26年度の京都市
「空き家活用×まちづくり」モデル・プロジェクト()に採用されています。
※京都市では,京都の強みである地域力を活かした空き家活用を促進するため、空き家をまちづくりの資源と捉えた
空き家の新しい活用方法の提案を募集し、
優れた提案に対してその提案を実現するために必要な費用の一部を助成する
モデル事業を実施しています。

 

「escola」(エスコーラ)とはポルトガル語で
「学校」や「コミュニティ」など広い意味を指し、
「自由に考え、言い、形にできる」「失敗することができる場所」という意味です。

本町エスコーラのはじまりは、移動式の音楽学校(=エスコーラ)がきっかけでした。
移動式の音楽学校をするうちに拠点の必要性を感じ、数年の時間をかけて
佐々木さんは現在の本町エスコーラになる空き家に出会いました。

本町エスコーラは、空き家を使って行う「エスコーラ」であり、
そのコンセプトに賛同する方が集まってコミュニティを形成し
アトリエ・製作の場・事務所などとして活用されています。

種から育てたヒョウタンを楽器にし、それで演奏をしたり
引き継いだ鍛冶屋さんでモノづくりを始めてみたりと
ご紹介いただいた多岐にわたるチャレンジングな活動を
「やりたいと思ったことはやってみる」=「失敗することができる」
という実例として紹介して下さいました。

 

本町エスコーラのコンセプトは次の3つです。

1:自立的コミュニティ

課題を設定する(見つける)、向き合う、動くことが主体的にできること。
コミュニティ内部での意思疎通がとても大切になります。

2:自立的な建築

自分たちの生活を自分たちで生み出す、失敗を自分たちで入れていく。
失敗は多くあるが、それをまた受け入れていく姿勢が重要。

3:自立的インフラ

井戸を掘る、自家発電などの目標をたてていて、自然環境と調和した暮らし方を模索中
こちらについては、自給について学び、トライしている最中です。

 

自立することに重点を置きつつも、「エスコーラ」としての視点・想いが
軸になっている姿が、会場の参加者にも響きました。

(佐々木さんが大切にしている、エスコーラが生む循環)

 

【空き家活用の大変なこと】

空き家の活用をする上で、大変なことは地域に溶け込むこと。
地域の住民に耳を傾けてもらい、理解してもらうことへはいろいろなハードルがあるといいます。
そのハードルを越えていくために、佐々木さんは地域へ向けた本町エスコーラの活動報告を大切にしています。

実際に空き家を使っているからこそ見えてきた「課題」は地域への「話題」になる。
それに気づいた佐々木さんは、その話題を地域のコミュニケーションに活かし住民との対話も大切にしています。

ゲストトーク②:森川さん(白川カフェ)

【出会いを紡いでできたカフェ】
不動産業や保養所で勤務していた経験から、東山でゲストハウスの運営をしている森川(もりかわ)さん。
その事務所を探す過程で、白川カフェの物件と出会いました。
物件を商業ベースで考えるべきとの意見より、カフェを営むように。

 

保養所運営のため京都に移り住んだ森川さんは、地域では新参者であったため、
保養所の支配人として、地域住民に観光客の問題を指摘される日々でした。

そこで行った毎朝の近所の掃き掃除(門履き)などをきっかけに地域に溶け込み、
時間を重ねるうちに地域のお祭・活動にも地域住民からお誘いをもらい、
活動に参加する中でどんどん地域の方との距離を縮めていきました。

そうするうちにまちづくりへの関心が高まり、
観光客と地域住民の距離の解決について考えるようになったといいます。
その後「京都市の未来まちづくり100人委員会」などに参加する中で、

「不動産×旅館」の知識を使って、ゲストハウスやシェアハウス、
シェアオフィスなどに
空き家を利活用できないか。

そんな想いを持ちつつ、民間のまちづくりセミナーに参加していた際
「場所が空いている」と教えてもらい、出会ったのが現・白川カフェ。

使われていない駐車場で当時は川掃除の用具置き場をオーナーと交渉し
「有効活用するなら」とのことでお借りできることになりました。

 

場所を借りることができるとなり、当初はゲストハウスの事務所にしようと思っていたのですが、
周囲から「利益を生まなくては借りる意味がない」という声をもらい、
自身の不動産業と旅館業の経験を活かしてカフェへと展開していきました。

テイクアウト専用のカフェとしてオープンしましたが、
利用客の要望に応えて事務所スペースをイートインスペースに作り替えました。
営業が始まり半年になりますが、月に1回の夜の白川バーなども通じて
空き家(スペース)のオーナーや地域の方と交流も良い関係が続いているといいます。

 

【すべてのきっかけは仲間との出会い】

白川カフェになる空き家と出会ったのも、
今までの活動からの出会いの積み重ねでしたが
白川カフェができるまでも、たくさんの出会いに支えられていました。

例えばカフェの店舗作りに関しては、
建物は京都府の「地域力再生プロジェクト支援事業」として補助金をもらい、
デザインは仲間たちと知識と力を出して自ら改修しました。

カフェにするという発案も周囲の客観的意見に始まり、お店を回してくれる店長と出会えたこと、
お店で扱う商品と出会えたこと、お店を形作る仲間と出会えたこと。

常に仲間探しをしているという森川さんは、
仲間と巡り合い一人ではできないことを成しています。

ゲストトーク③:伊豆田さん(現代版わらしべ長者)

【1つのチョコレートが生んだ、空き家の未来】

自称「わらしべ貧者」とおっしゃっている伊豆田(いずた)さんは
「みのりのもり劇場」という右京区のお母さん達の集まりから始まった、
まちづくりのNPO法人の理事長をされています。

 

「右京じかん」という地域情報誌で、嵐電パトトレインのチロルチョコを
スタートに紙面で物々交換を募集しはじめた結果
交換が繋がり4年後、京北地域の元和菓子屋の一軒家になりました。

さて、では「わらしべ貧者」とは、、、?
その理由は後半に明らかになります。

「わらしべの家」と呼ばれるこの家屋は当初雨漏りや床抜けが大変な状態。
この家で「なにか」するために伊豆田さんは、
一般社団法人の里山デザイン、地元の商工会、青年部有志や
一級建築士事務所など京北地域の方を巻き込み、かかわってもらうことから始めました。

 

【わらしべの家の未来】

わらしべの家をどう使っていこうかと考えたときに
伊豆田さんがしたかったことは「ワクワクを作る」こと。
そこでわらしべの家に「カフェ」、「京北お試し暮らしスペース」
「コミュニティスペースか何か(現在募集中)」の3つの機能をもたせようとしています。

その中でも「京北お試し暮らしスペース」は
京北地域には空き家は少なく、いきなり住もうと思っても
改修のかなり必要な家を借りることになることがあるそう。

そのハードルを下げるため、まずはこの地域に住みたい方へ
お試し暮らし用のスペースへとしての機能です。
ここで暮らす方への仕事は商工会に紹介してもらいます。

こうしてわらしべの家には、京北地域を知ってもらうべく
立地も役割も京北の入り口となる機能を持たせようとしています。

伊豆田さんが作りたかった「ワクワク」とは
みのりのもり劇場だけでなく、また京北の方々だけでなく
訪れる人、移住を希望する人など京北にかかわる方みんなのワクワク
というわらしべの家への想いが伝わってきました。

このわらしべの家は今年度の空き家モデル・プロジェクト事業に採用されていますが、
現在も改修を進めている最中で、モデル・プロジェクト事業の補助金以外の
費用をまかなうために現在も学生チームがクラウドファンディングをしています。
(平成29年12月8日 12:59まで)

わらしべ長者のはずなのに、お金がない!
伊豆田さんがわらしべ貧者と話されていたのは、これが理由でした。

 

【まとめ】

そもそも、空き家利活用のきっかけは何なんのか。
「自分と対照の人と出会い、仲間にしたこと」と答えてくれた森川さん。
ご自身が「やりたいこと」は事務所作りだったのに対し、
周囲の客観的意見は「利益を生む場に活用すること」でした。
自分と違うスパイスを持つ方の意見がキーポイントだったといいます。

伊豆田さんは今回の空き家を利活用するにあたって
事業性を意識していたみのりのもりの事業とは対照的に、
意識してお試し暮らしスペースなどを「チャレンジ」したとのこと。
自分たちは裏方に徹し、京北のワクワクのためにできることを模索しています。

学校を作りたいと強く思っていた佐々木さんは、
空き家からできた学びの場に重きを置いているため、
物づくりから学べること・生まれる対話が生きる力になる。
そのために拠点としての場の重要性を感じられています。

三者三様、空き家との出会いや利活用についてストーリーがありますが、
事業を始めるにあたって、「絶対にやるぞ」という強い気持ち、
そして一人でできないことに対して仲間を大切にすること。

空き家利活用事業で外せないことはその地域の住民の方々。
地域の方の理解を得るために努力し、打ち解け良好な関係を築くことは
地域にさらなる仲間を生むことにもなります。

空き家とは「ご縁」があってということがゲストの共通点だとも感じましたが、
周りの仲間や地域の方など、「人」を大切にすることが大事だと改めて考えさせられました。

 

みんなごとの悩み相談

今回も、参加者の皆さんから空き家に関する悩みを持ち寄っていただき、
参加者みんなで話し合い、意見やアイディアを発表しました。

▶︎お悩み①

「綾部市にある築 200 年程の実家が空き家になっており、維持費のみがかかる状況をなんとかしたい」

リアルな「空き家」をどう活用していくかの悩み。
「できるなら子供たちの教育にもつなげたい」との想いもお持ちでした。

このお悩みに対して、
・宿泊者にお金でない対価(改修のお手伝いなど)を払ってもらい みんなで作る家にする
・お試し移住のおうちにすることや 秋祭りで地元の方を巻き込み地元のお酒やジビエを使ったイベントを企画できないか
・企画を重ねるうちにお世話をしてくれる人を見つけられるのではないか。

などの意見やアイディアが出ました。

 

▶︎お悩み②

「生きづらさを抱える少女たちに、 性風俗社会に染まることのないよう居場所を与えることはできないか」

この「空いている場所」を探すお悩みに対しては、
事業継続のために自立するにはという視点から始まり、

・少女をターゲットにした企業の商品開発にアイデアを活用してもらう
・憧れになる女性へ悩みをシェアする場作りを作るのはどうか

といった意見がでました。

 

「場所をどう活用するか」という課題と、 「場所を求めてどう活動するか」という課題の
2つを同時に考えることになり、 参加者の皆様にとってすごく気づきの多いお悩みでした。

このように、悩みを自分ごとにとらえて参加者でディスカッションすることにより
たくさんの意見が出て、ご相談者自身も刺激を持ち帰っていただくことができました。

 

 

【参加者の感想】

今回参加いただいた方の感想をいくつかご紹介します。

・空き家を使ったまちづくりとは、人の巻き込み、地域の巻き込みがとても大事であることを改めて感じました。

・すぐに”何か”やってみたいと思いました。失敗あり!プロセス大事!!

・その分野のプロの方や実話が聞けて勉強になりました。自分も何ができる!?と少し思いました。

 

【今回の講座をまとめていただきました!】

今回も、グラフィックレコーディングを鈴木さよさんにお願いし、
講座の内容を伝わる内容にまとめていただきました!

 

 

 

 

◆振り返りシート

そして、今回みなさんにご記入いただいた振り返りシートをまとめました。
下記よりご覧ください。

振り返りまとめ「講座を受ける前後での気づきと変化」

振り返りまとめ「変化を経て挑戦する最初の一歩」

 

◎次回案内

次回のみんなごとのまちづくり公開講座は12月15日金曜日に、天性寺にて18時から開催いたします。
ママと子どもが暮らしやすい京都を目指し、テーマは「女性が住みやすいまち」。
今回と同様に、実践者を2名ゲストとしてお迎えして開催します。

申し込みはこちらから

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