【活動進化プログラム】公開講座レポート #03

レポート2017年11月02日

#03 「資金調達の経験から見えてきた、共感するビジョンの必要性」

 

10/20(金)、“みんなごと”のまちづくり推進事業 活動進化プログラムの
第3回目の公開講座が開催されました。

“みんなごと”のまちづくり推進事業は、
京都がもっとよくなる、もっと住みやすくなる提案を、
市民から募集し、行政と民間が一体となって実現を目指す協働事業。

全5回の公開講座では、まちづくり・お宝バンク に提案をされている方、または、
これから提案しようと考えている市民に向けて、企画、広報、資金調達の手法を学んで頂きます。

(※みんなでつくる京都 まちづくり・お宝バンク)

 

◎今回の講座の紹介

第3回目となる今回は、
「資金調達の経験から見えてきた、共感するビジョンの必要性」がテーマです。

プロジェクトの実現に必要なものの中の「資金の調達」は、
多くの団体が抱える悩みの1つ。
今回は、クリエイティブなプロジェクトや、社会課題の解決に対して、
クラウドファンディングサイトを提供する「READYFOR」株式会社の
富澤由佳(とみざわ・ゆか)さんと、
みんなと共に夢を実現するための計画づくりを考えていきます。

 

クラウドファンディングサービスReadyfor(以下Readyfor)は、
プロジェクト件数と達成数で日本一となっている
日本最大規模のクラウドファンディング型プラットフォーム。
「誰もがやりたいことを実現できる」、へのこだわりを非常に強く持っていらっしゃいます。
同社では、「やりたいことをやるべき、世の中に出してみないとわからないから」
という考えのもと、目標金額達成へのサポートを全力で行っています。

 

その中でも富澤さんは8月に立ち上がったばかりの部署、
地方創生事業部で、「クラウドファンディングをしたい!」という方へ向けて
相談に乗ったり、アドバイスをされたりしています。

今回の講座では富澤さんより、クラウドファンディングの仕組みとリスク、

成功の共通点に至るまでとってもわかりやすくご講演いただきました。

クラウドファンディングとは「一般の方からお金を集める仕組み」。
しかし、「お金が欲しい!」と伝えるだけではお金を集めることはできません。
一体どうするのでしょうか。

【クラウドファンディングの仕組み】

仕組みの中でも重要なポイントの一つが「リターンを設ける」こと。
3種類あるリターンのうち、日本でもReadyforでも最もよく使われるものは
お金ではなく物や権利がかえってくる「購入型」のリターンだといいます。
この購入型は支援金額や権利などの内容を自由に決めることができるので、
使い方ひとつでいろんな人を動かすことができるそうです。

会場には、既にクラウドファンディングでプロジェクトを始めている方、
今後始める方や、プロジェクトの支援の経験がある方など
様々な立場の方がいらっしゃり、皆さん真剣そのもの。

富澤さんいわく、クラウドファンディングのお話をしていると、
「どういうきっかけでお金が集まっているのか?」
と聞かれることがよくあるそうです。

その答えは2つ、あるそうです。

1つ目は「実績やコンテンツ力」。
有名人のプロジェクトや、プロジェクトの内容自体がとがっているもの
(例えば「注文をまちがえる料理店」など)は実績やコンテンツ力があるといえます。
また、その内容をメディアが発信することで更に信頼が加速する、とのこと。

しかし、「そんな事例は氷山の一角にすぎず、それだけの世の中はおもしろくない!
そのためにクラウドファンディングがある!」富澤さんはそうお考えです。

実績やコンテンツ力だけでなく、一般の方の心を動かす別のものが必要だとすると
一体どんなものが必要なのでしょうか?

 

2つ目は「ストーリーで共感を生み、周りを巻き込んでいくこと」。
クラウドファンディングは「一般の方から」お金を集める。
だからこそプロジェクトの想いを伝え、周りを巻き込むこと・仲間になってもらうことで
「仲間集め」から「お金集め」の実現につながります。

「仲間」とはお金を出す人だけでなく、応援してくれる人、
情報を拡散してくれる人も大切な仲間であり、
その仲間たちが連鎖し合ってお金も集まっていくそうです。

連鎖とは、SNSなどを通じた情報発信がメディアとして情報が広がっていくこと。
今の時代だからこそできる強みと言えます。

 

【クラウドファンディングの罠】

クラウドファンディングの仕組みだけでなく、
大切なポイントとしてリスクについても教えていただきました。

それは、資金集めの際のコミュニケーション次第で、
ソーシャルキャピタル(社会的資本、人との繋がり)の喪失につながるということです。
仲間集めをするつもりが、コミュニケーションの方法・想いの伝え方ひとつで

その人との繋がりを失うことになりかねない、ということは大きなリスクといえるでしょう。

いかに想いをきちんと伝えるかが大切だということを改めて感じました。


【クラウドファンディングでの成功の秘訣】

そして最後に、クラウドファンディングにおいて大切なことも教えていただきました。
それは「優れたコンセプト設計」をすることです。
優れたコンセプトとは、「なぜ」を表し、「違い」を一瞬で伝えることができるもの。

そして、その優れたコンセプト設計を「伝える」ことができること。
この2つが成功の秘訣だと教えていただきました。

 

【達成率400パーセント超え!詩集出版のクラウドファンディング】

今年クラウドファンディングに挑戦した、また現在挑戦中の方々に
実例のご紹介をしていただきました。

「しあわせニコニコ集くりーむ」の川東章(かわひがし・あきら)さんは
友人に贈った元気のでる言葉を集めた詩集「はじまりのありがとう」の
出版費用を集めるため、今年の5月にクラウドファンディングに挑戦しました。

結果、目標金額の30万円をはるかに上回る
120万円以上の支援を集めることに成功。

川東さんがクラウドファンディングに挑戦したきっかけは
昨年度の活動進化プログラムで富澤さんの講演を聞いたことです。
その講演中、「仲間づくりが大切」と教えていただいた
富澤さんのお言葉を大切に実践したとおっしゃいました。

「集めたいのはみんなの想い、残したいのはみんなの笑顔」という想いから、
皆さんの笑顔を詩集に掲載したり、
巻末に支援をいただいた方のお名前を掲載したりしました。
お名前については、想いは支援した金額ではないとして
金額にかかわらず順不同に掲載したといいます。

「本の出版に参加いただいた方への誇りになるように」、
「出資者の皆さんに参画者になってほしい」。
出版して終わりでなく出版してから何かが始まる、そんな強い想いを実行されました。

 

【東京から仕事を辞めて京都へ、ゲストハウス作りへの本気の挑戦】

西濱愛乃(にしはま・あいの)さん、萌根(もね)さんご姉妹は
京都市・丸太町でゲストハウス「NINIROOM」をオープンさせるために
Readyforでクラウドファンディングに挑戦。

 

開始から5日間で目標金額を達成し、現在は残りの45日で次のゴールを設定しています。
こちらも目標達成の理由を、「周りを巻き込んだから」と分析されていました。

 

その中の一例が、まだプロジェクトの準備をされている際に
はっきりと固まっていないご自身たちの考えの整理も兼ねて動画を作成されたこと。
この動画には、なぜゲストハウスなのか
なぜ丸太町で作りたいのか、という想いがたくさん詰まっています。

そのため、SNSでの発信にも役立ち、多くの方に共感を生み
仲間作りにも非常に大きな役割を果たしたそうです。

お二人がクラウドファンディングという手法を選んだ理由は2つあります。
ゲストハウスという拠点作りをする上で、
「私が支援を協力したからゲストハウスができた」という仲間作りのマインドセット、
クラウドファンディング自体が自分たちの活動のプロモーションになる、という点です。

ゲストハウスの準備段階から、周り多くの方に相談をしたことが
「NINIROOMを自分ごとにとらえてもらう」共感を生んだ理由だそう。

クラウドファンディングに挑戦して良かった点として、
告知やコンテンツ広げる軸になったこと、
目標支援額などを数値で追えることの2点を挙げていただきました。
また、Readyforのプロジェクト掲載ページ内でいただける「応援の声」も
大きな励みになったとおっしゃっていました。

【キーワードは「仲間づくり」】

川東さんは、プロジェクトのクラウドファンディングの公開前日に
周りの方にクラウドファンディングについて説明する会を開催。
西濱さんたちは、想いをまず伝えるため「動画を見てもらう」ことからスタート。

お二組の行動はまさしく富澤さんのお話の中にあった「仲間づくり」であり
これらへの「事前準備が大切」と説明をいただきました。
「このプロジェクトはみんなで作っている」というマインドセットをすることです。

最後に、進行より「クラウドファンディングの最初の一歩はどこから?」との質問に
富澤さんは、「やりたいことさえあれば、とりあえず問い合わせを!」
と力強くおっしゃっていただきました。

 

【みんなごとのディスカッション】

ゲストの皆さんからのお話の後、参加者のうち2組の団体が抱えている悩みに
まさにみんなごとで考える!ディスカッションを実施。

「障がい者の方が書いた絵の原画展を開きたいが、より多くの方に届けるには?」
「海外のお母さんと子供たちのための病院建設をするプロジェクトに対して
高額な支援をいただいた方へのリターンはどうしたらいい?」
この悩みに対して、参加者が3人一組で意見を出し合い、発表することに。

参加者に2組にわかれてもらい、それぞれのテーマについて意見を出してもらいました。
原画展では、原画展の存在を知ってもらうためのプロモーションを行うことや
原画のプレゼントや好きな原画でのグッズ作成をリターンにしてもらう。
高額支援のリターンには海外でのオリジナルツアーをするなど
たくさんの意見が次々と出ました。

みんなで考えると相乗的にたくさんの意見が出て、
みんなの力を合わせることって本当にすごいんだと改めて感じさせていただきました。

【まとめ】

クラウドファンディングについて、何となく知っていたことから、
挑戦するにあたって事前の準備をしっかりすべきことや
ちゃんと想い持ってそれを伝えることの大切さまでを教えていただきました。

「仲間」というキーワードが頻繁に登場しましたが、
少し遠かったような応援したい方々とのかかわり方も発見でき、
「クラウドファンディング」について自分にこれから何ができるのか、
どんな仲間ができるのかとわくわくする2時間でした!

今回の参加者は、クラウドファンディングについて様々な立場の方がいらっしゃり、
ゲストも参加者もみんながお互いに学び合い、繋がり、新しく出会うことになった、
というお声をたくさんいただきました。

また、ディスカッションが顕著な例でしたが、みんなで力を合わせること
意見の出し合いの相乗効果など改めて感じる1日となりました。

 

【参加者の感想】

・いろんな人を巻き込む大切さ、難しさに気づきました
・クラウドファンディング、そろそろ動かないとなぁ…から今すぐやらなきゃ!に変りました。
・実践者の話もふまえて聞けたので、とても勉強になりました。アイデアを出し合うというか自分の持っている”糧”を関心を持ってくれそうな人達に対して気軽に話す。ことが大切さ。改めて気づきました。

 

【グラフィックファシリテーション】

今回もグラフィックファシリテーションを鈴木さよさんにお願いし
きれいに伝わる内容でおまとめいただきました!

 

今回の講座のまとめとして、復習として、ぜひご覧ください!

振り返りシート

そして、今回みなさんにご記入いただいた振り返りシートをまとめました。
下記よりご覧ください。

⇨振り返りまとめ「講座を受ける前後での気づきと変化」

⇨振り返りまとめ「変化を経て挑戦する最初の一歩」

 

◎次回案内

次回のみんなごとのまちづくり公開講座は11月17日金曜日に、
同じ会場「Oinai Karasuma」にて19時から開催いたします。
テーマの「京都がオモシロクなる空き家利活用」について
実践者の3名をゲストにお迎えして開催します。

実践者の3名様の詳細、その他第4回に関する情報は下記からご覧くださいませ。
(http://machigoto.org/minnagoto/)

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